「今日は寒いから、作業が辛いな」
冬の寒さで冷えきった工房に、黒いエプロンを付けた男が入ってきた。
彼の名は佐藤しげる、この工房の主人だ。
何に使うのかわからない機械が至る所に無造作に置かれている。佐藤にとってはこだわりの配置らしいが、知らぬ者にとってはかなり雑然とした印象だ。
工房の奥の暖炉に火をつけると幾分か暖かくなった。
しばらく経つと、工房の扉が開く音がした。建て付けが悪く開きにくいが、そのままになっている。
「こんにちは、予約していた佐田です」
今日の一人目の客だ。
開ききらない扉を、一生懸命こじ開け入ってきた。かなり体が大きいようだ、100kgは超えているだろう。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」
佐藤は、工房にあるソファへ案内した。
佐田が座るとギシっと音を立て、ソファが沈んだ。
「今日は、いかがされましたか?」
「いやぁ、肩がね、酷いんですよ。」
そう言うと、佐田は肩に手を当てて首を傾げた。
「なるほど、では少し準備をしますね」
佐藤は、雑然とした工房内の器具の一つを手に取った。工房内の印象とは違い、かなり手入れがなされている。
佐藤は、佐田に上半身の服を脱ぐよう伝えた。
佐田が服を脱ぐと、佐藤は先程持った器具を佐田の背中に取り付けた。
「では、肩甲骨の洗浄始めさせていただきますね」
…
………
前置きが長くなりました、犬爪です。
そう、佐藤は肩甲骨を洗う職人です。
皆さん肩甲骨洗いたくありませんか?
背中をパカっと開けたら、肩甲骨の裏にビッシリ錆が付いてそうだなぁとか思いませんか?
あー肩重い。かなり長い年月の悩み、肩こり。
絶対付いてる、すごい錆が。
佐藤に洗って欲しい。
ザバーーーっと。
ゴシゴシーーーって。
そしたらスッキリするかな、肩こり。
肩甲骨を洗う職人をご存知の方は是非ご一報ください。
《おしまい》